「JM」
むかし同名の映画がありました。
「スピード」の翌年(1995)「マトリックス」の前の作品で、
ビートたけしさんが競演で話題になりましたが、
現代版「未来世紀ブラジル」を狙いすぎて、
ちょっと分かりづらく、オチにかける作品でしたが、
こちらはラムの銘柄。
マルティニーク島産のラムです。
同じマルティニーク島の『クレマン』『サンテ・エティエンヌ』の経営者が持つ、
3つ目の蒸留所。
焼畑をしない80ヘクタールの自社農園で栽培された、
良質のサトウキビのみを使用し、
機械で刈取られたサトウキビを、1時間以内に粉砕され、
1トンのサトウキビから80リットルのラムが出来るそうです。
既に醗酵済みの液体へ、
絞られたばかりのジュースを少しずつ加え、
追加でパン酵母を加えることをあまりせず、
自然に醗酵させているのがこの蒸留所の特徴です。
48時間醗酵させられた液体を、
二つあるクレオール式の蒸留器へ送られ蒸留工程に入ります。
蒸留の残留物は水と混ぜ合わせてから、
自社農園で栽培されているバナナ畑へ撒かれ、
栄養分として再利用されているそうです。
なので、この農園で収穫されるバナナはラムの味がするとか?!
JMのブランは6ヶ月間ステンレスタンクで貯蔵され、
その後更に6ヶ月間かけて水を加え、
アルコール度数を調整してボトリングされます。

★JM ブラン 50度 700ml★
マルティニークで唯一、リカスクし内側を焼きなおしたバーボン樽を使用し、
熟成させられています。
気温が高いために「天使の分け前」で、
1年に7%も減る為、毎年同じ蒸留年の原酒をステンレスのタンクに移し、
減った分量と同等の量の新しいラムを補填し、
再度、樽へ戻すと言う手のかかる作業を行っているそうです。

★JM ゴールド 50度 700ml★

★JM ヴィユー レゼルヴスペシャル 47度 700ml★

★J.M.オール・カラフェ・フォンダトゥール 48.2度 700ml★

★J.M.1996 49.6度 700ml★
こういう工程を行っているためか、
他の蒸留所のラムと比べ価格が高くなっていますが、
味わいは上品でいて繊細ですが、
ワイルドなニュアンスを存分に楽しめる逸品です。
ウイスキー好きにも通用する、しっかりとした味わいのラム。
是非お試しください!
ラムの聖地 西麻布「tafia」の多東さんの蒸留所情報を転記。
http://r.tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13001300/
Distillerie JM ジー・エム蒸留所(Heritiers Crassous de Medeuil)
<沿革>
島の北部には中央にプレ山がそびえ、その為、東側は大西洋からの湿気を受けジメッとした気候で、西側はプレ山に遮られてカラッとしているという。東西のバイパス道路がプレ山によって遮断されているため、非常に行きにくい北東の街、マクーバの鬱蒼としたジャングルの中に蒸留所は在る。
1790年、サン・ピエールの卸商だったジャン・マリー・マルタンは、当時水車で動いていたフォン・プレヴィルの製糖工場を買い取った。1820年頃マルタンは自分の名前の頭文字J.M.を樽に記し、以来この2字は彼の生産する良質なラムの銘柄名となった。
1916年に、この企業は既にアグリコールラムのみを作っていたが、クラス・ド・メドゥイユへ経営権を相続した。現在、4代目にあたるウベール・デュシャン・ド・シャステニュ氏は、2002年にイヴ&ベルナール・アイヨ・グループ(クレマンとサンテティエンヌ蒸留所の経営者)へ経営権を売却した。
<製法>
この蒸留所で使うサトウキビは、全て蒸留所所有のフォン・プレヴィルとベルヴュー農園から供給される。150ヘクタールの畑の内、70ヘクタールがバナナ農園である。湿気が多く雨がちな北東の気候のため、サトウキビが良く育つという。AOCで自家農園は焼き畑をしない、と決まっているので93年からは焼き畑をせず、ルイジアナ製の刈り取り機で刈った後、鮮度を重視し、1時間以内に粉砕している。
1トン当りのサトウキビから80ℓのラムができる。
10トン程の刈ったサトウキビを貯めて、そのまま下へ落とし、歯が24枚付いているシュレッダーで分断後、3箇所の歯車でプレスし、ジュースにする。(1番目の歯車はブラジル製の電力、2,3番目の歯車は蒸気で動いている。)絞ったカスのバガズは蒸留所の動力になり、余ったものは肥料になる。
仕込み水はサン・ジョセフから蒸留所内へ流れ込んでいる、リヴィエール・ブランシュという川の水を使っている。
ヴズーをフィルターにかけて発酵槽へ移す。前回の発酵済みの液体にジュースを足してゆく。発酵が足りない時のみパン酵母を足すが、基本的には発酵済みの液体から自然に促されるようにしている。PH調整の為に硫酸を加えたり、酵母の栄養源として、窒素化合物である硫酸アンモニウムを加えたりもする。発酵が始まっていない液体は黒いが、始まると泥などが沈殿して液体の色は薄くなる。48時間発酵させ、2つの銅製クレオール式蒸留機(ERGOTエルゴー,GRANGEグランジェ)へ送る。1時間に75%のラムが400ℓ作られる。蒸留塔は、2つとも、蒸留部分8段+蒸気圧縮部分3段の11段で成っている。
残留物(ヴィナス)は、池にまいて混ぜ合わせてから、自家バナナ園に肥料としてまく。だから、JM農園のバナナはラムの味がするという。(?)
ブランはステンレスタンクに6ヶ月間そのまま貯蔵して、その後、半年かけて加水し瓶詰めする。200ℓのバーボン樽に1年熟成したものをエルベ・ス・ボワとして商品化している。同じ樽で10年(最高15年まで)熟成したものにミレジムをつけヴューとして商品化している。
<特記事項>
この蒸留所は樽熟成に非常に力を入れている。熟成ラムは全て、蒸留所内で樽の内側を焼き直したものを使用する。一つ一つ焼き直しまで行う蒸留所は島でここだけである。また、全生産量354000リットルの内1/3にあたる120000リットルが熟成にまわされる。一年で7%前後の天使の分け前(樽の吸い込みとアルコール蒸発による目減りのこと)がある。毎年、同じ蒸留年の樽の全てを大きなタンクへ移し、天使の分け前分の新しいラムを補填して(これをウィヤージュという)又、各樽へ戻している。瓶詰めする際には一切、加水は行わない。従って、毎年アルコール度数が異なる。
熟成庫の中で、樽は全て横向きに並べられている。この方がウィヤージュし易いかららしい。
他の蒸留所より価格が高いのは、長期熟成と蒸留所での細かい手作業、そして何よりその類い稀な品質のせいである。蒸留所の遠景が書かれたラムのエチケットは、シャステニュ氏の母親のデザインだという。
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