銀幕の雫: ラムのお話 その四

2008年12月7日日曜日

ラムのお話 その四


ラムのラベルを見ていると
よく見かける「Agricole」の文字。
恐らくご存知の方も多いと思われるのですが、
改めてまとめてみようと思います。

そもそも、ラムはカリブ海の植民地で
砂糖を生産する上で残った糖蜜を原料に
副産物として作っていました。
過酷な労働をする労働者を癒すためだったり、
三角貿易のための商品としてだったり
生産されていました。
この糖蜜(モラセス)を原料に作られるラムの事を
インダストリアル(Industrial)ラムと呼んでいます。
ラムの生産され始めた当初は
100%このインダストリアル・ラムだったはずです。

その理由は
砂糖を作る過程で出来る糖蜜で安価にアルコールを得る。
という考え方のもと作り出されたのがラムだったから。

しかし、19世紀も後半になると、
ラムを砂糖製造の副産物としてではなくラム自体を
目的を持って生産するようになりました。

当然ラムの品質は飛躍的に向上し、それにより
フランスなどではラムの消費も爆発的に増えました。

ラムの需要が伸び続けると、今度は
ラムの原料である糖蜜を得るために砂糖を作る。
というこれまでとは逆の流れになっていき、
砂糖の過剰生産、値段の下落などにつながりました。

こうした流れの中、親会社の破産などで閉鎖に
追い込まれたサトウキビ農園主たちは、
新しいタイプのラム作りへと挑戦し始めました。

これは、砂糖を作った後の残り(糖蜜)から作るのではなく
ラム・アグリコール」と呼ばれるサトウキビの絞り汁を
100%使い蒸留する造り方でした。

ここでラムの製法は
糖蜜を使い醗酵、蒸留するインダストリアルと
サトウキビジュース100%を使い生産するアグリコールと
大きく分けて二つの製法に分かれることになりました。

現在でもその製法はフランスの海外圏
(主にマルティニーク、グアドループ、マリーガラントなど)
において作られており、そのことを示す表示が
Agricole(アグリコール)」となっています。

このサトウキビジュース100%を使う製法は
フランス、海外圏以外でもあることはあるのですが、
フランスほどに厳しくはない法律のもとで
作られるラムには表記の義務がなかったり、
そもそも「アグリコール」に相当する言葉がなかったりで
ラベルを見るだけではわからなかったりします。
ですが、その辺はあんまり考えすぎると
こんがらがってしまうので、
あまり気にしなくていいんじゃないでしょうか。

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