お酒というのはその国の文化や歴史に
大きく関わっていたり、影響を受けたりしているため
何かのボトルを説明したり、調べたりしようとすると
次々に横道に逸れてしまいます。
しかし、それを知るのと知らないのとでは、
ひとつのお酒を飲むにあたって、
その味わいや思い入れが
全く変わってくるものではないでしょうか。
それがハードリカーの魅力のひとつだと思っています。
皆さんにも思い出のお酒ってありませんか??
前置きが長くなりましたが、
実を言うと、今回はお酒の話よりも
歴史や土地の話が多くなってしまったことへの
言い訳でした。
カリブ海のほぼ真ん中にあるグアドループ島。
近年のマルティニークブームにあるラム界ですが、
その中で新たなフランス系として
注目を集めている島です。
グアドループ島は1493年コロンブスが
最初のヨーロッパ人として上陸し、その際
スペインのエストレマドゥーラにある
サンタ・マリア・デ・グアドルーペ王立修道院に
ちなんで命名しました。
この修道院、4世紀以上に渡ってスペインにおいて
最も重要な修道院とされていた修道院で、
その歴史は13世紀後半、羊飼いヒル・コルデロが
グアドルーペ河岸で聖母像を発見し、
その場所に礼拝堂が建てられたのが始まりです。
1340年、カスティーリャ王アルフォンソ11世が
聖母像を参拝した直後にイスラム軍を破ったことから、
教会を壮大な修道院に改修。
スペインにおける聖母信仰の中心となり、
そして1492年のレコンキスタにより
スペインの守護聖母を奉る巡礼地として
絶対的な存在になりました。
コロンブスは南米から連れてきた人々を
この修道院でカトリックに改宗させたといいます。
そのため、全スペイン語圏の守護聖母となっています。
王家の庇護を受けてきた修道院は
1993年に世界文化遺産登録されました。
そんな大事な修道院ですから、
コロンブスが危険な航海を続けた末
無事アメリカ大陸を発見したときに
言葉にならない感謝を込めて命名したのでしょう。
大航海時代の始まりを象徴するかのような
とっても素敵な話です。
しかし、この島にももちろん先住民はいました。
そして彼らにとっては迷惑この上ない話だったことでしょう。
この島は先住民たちには
「Karukera(カルケラ=水の綺麗な島)」
と呼ばれていました。
上から見ると蝶が羽を広げているようなこの島は
左の島バステールと右の島グランテールに分かれています。
バステールは起伏の激しい土地で、中央部には
熱帯ジャングルが広がっていることから
水が綺麗な土地になっているのではないかと
勝手に憶測しています。
そして、水が綺麗ということは海に囲まれた
小さな島にとっては、とても大切なことだったはずです。
長々とそんな話を書いてしまったのは
今回ご紹介しようと思ったラムの名前が原因です。
ロンジュトー蒸留所でセカンド・ブランドとして生産されている。
「カルケラ
もちろん名前の通り、グアドループ産です。

★カルケラ アグリコール ブラン 50度 700ml★
主にロシアなどに向けての輸出用として作られていました。
vieux
澱の浮遊が多く、その分とても長い余韻が楽しめます。

1995
上品な滑らかさと甘さ、少し青みのあるフルーツのような香り。
とても綺麗な印象のラムです。

★カルケラ ヴィユー 1995 42度 700ml★

★カルケラ ヴィユー 1997 46.3度 700ml★
今回はお酒のお話は申し訳程度になってしまいましたが、
歴史やその土地に思いを馳せながら飲むのも
ハードリカーの楽しいところのひとつでしょうね。
0 件のコメント:
コメントを投稿