銀幕の雫: テキーラセミナー 前編

2010年3月10日水曜日

テキーラセミナー 前編

この所、続けてテキーラのセミナーに参加させていただきました。

ポルフィディオのオーナーや、
アメリカにテキーラを広めたと言う方のセミナーで、
かなりマニアックで、
お酒好きとしては興味をそそられるポイントも、
沢山ありましたので、
ちょっと長くなりそうなので、
2回に分けてお送りします。

まずはポルフィディオのオーナーの紹介を。
マーティン・グラッスル氏の実家は、
オーストリアでりんごのブランデーを造っていたそうで、
昔からお酒造りには近いところに居たそうです。
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スイスの大学で勉強した後、
アメリカ映画のジョン・ウェインに憧れて渡米。

酒類の販売をする企業に入社し、
スピリッツ担当になりメキシコへ新商品を探しに行ったのが、
テキーラと本格的に出会うきっかけになったんだそうです。

1991年にグラッスル氏のハンドルネームから取った名前、
「ポルフィディオ」を興し、
今まで培ってきた世界中の醸造、蒸留の技術を取り込み、
最高のテキーラを造り上げたんだそうです。
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そしてもう一人の講師、
アメリカ・サンフランシスコにある、
「トミーズ・メキシカン・レストラン」のオーナー、
フリオ・ベルメホ氏のセミナー内容を詰め込んで、
テキーラの製法を順に追いって行きましょう。

■原料
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お酒のアルコールと言う部分の原料となるのは、
原料自体に糖分を含むフルーツや、
でんぷん質の穀物ですが、
テキーラは、ブドウから出来るブランデーや、
サトウキビから出来るラム、りんごから出来るカルバドスなどの、
フルーツとは違い「加水分解」される原料の「アガベ」を使用しています。

原料となるアガベをポルフィディオでは、
ハリスコ州を中心に、
6つの州からアガベを集め、
試行錯誤の後、ハリスコ州のアガベのみを、
使用することに決めたんだそうです。

アガベのテロワールとしては、
地域性や地質よりも、
降雨量により、アガベの味わいに違いが出ると話していました。

また、原料のアガベは、
アガベ・テキラーナ・ウェーバー・アスール種のみが使用され、
収穫までに8~10年もの歳月がかかります。

■分解

加水分解には3通りあり、
一番メジャーなのが「加熱分解」ですが、
アガベの繊維質が破壊されてしまい、
メタノールが出てしまいますので、
身体にもあまり良くなく、
「テキーラはぶっ飛ぶ!」と言う
今までの悪いイメージの大量生産されているテキーラが、
この加熱分解されたジュースを原料に造られているそうです。

他に酸を使う分解方法もありますが、
ポルフィディオはもう一つの分解方法である、
「酵素分解」を用いて分解し、
メタノールが殆ど出来ない手法を取っています。

この手法はメキシコでもポルフィディオだけが利用している方法で、
あの口当たりの柔らかさや、
喉越しの滑らかさは原料の生成方法にあるといわれています。

また、使用される水に関しては、
自社で掘った井戸の水を利用し、
一度蒸留し、ミネラル分を除去し使用しているんだそうです。

■醗酵

日本酒で言うところの酵母を、
イーストを使用し醗酵させるそうです。

醗酵タンクの殆どは、温度管理や醗酵速度をあまり管理していないのだそうですが、
ポルフィディオは、もろみの温度管理を行い、
通常2日程度の醗酵期間の所を、
1週間程度かけて行うそうです。

醗酵時間を遅らせるということで、
香り高いテキーラが出来上がるのだそうす。

■蒸留
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通常のテキーラは大型のポットスティルで、
蒸留器に入れたジュースを100度で2回蒸留され、
55度で抽出するのが定番となっているそうです。

ポルフィディオは蒸留器にもこだわり、
ドイツで開発されたフィルターのような触媒が、
ネックの部分に付いた蒸留器を使用し、
100度にせず、ジュースを沸騰させないように蒸留しているため、
柔らかい味わいのスピリッツが蒸留できるそうです。

蒸留されてきたスピリッツは、
最初に出てくる部分を「ヘッド」
最後を「テール」と呼び、
香りや味わいが強く、
バランスが悪いスピリッツとされています。
(焼酎ではヘッドの部分を取り「ハナタレ」としてボトリングされていました)

真ん中の部分が一番美味しいスピリッツなんですが、
ポルフィディオではヘッドとテールを15%ずつ使用せず、
真ん中の70%のスピリッツみを使用し、
熟成へと使用されます。

通常はヘッドとテールを合わせて5~10%ほど捨て、
残りを殆どスピリッツとして使用しているそうです。

ちなみに使用しない部分のスピリッツは、
洗剤の会社に販売し再利用されているそうです。
セメントのタンクに、暫くの間入れておくと、
タンクが解けてしまう程、強い力を持っているんだとか。。


次が熟成となりますが、
本日はここまで。

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