銀幕の雫: 8月 2008

2008年8月8日金曜日

今日もラム グァドループ編 ロンジュトー

1968年以前は単式蒸留器を使っていたと言うロンジュトー蒸留所。

今は胴の太い連続式蒸留器を使って蒸留されています。

大きな醗酵槽に運ばれてきたサトウキビを絞り、
絞り汁が入れられ、イースト菌を使って醗酵されたもろ味からは、
発行の際に出る泡があふれる位に出ていて、
実際に醗酵層からあふれているそうです。

ロンジュトー蒸留所の考えのひとつで、
醗酵時に出る泡は不純物と言う考えで、
醗酵層の外に捨てられるそうです。

5度のアルコール度数になるまでに、
醗酵層の周りを温度が上がり過ぎないように、
冷却水を巡回させているそうです。

泡を捨てた雑味のないジュースを蒸留し、
ホワイトオークの樽で熟成させられ、
綺麗な黄金色をした液体になったところでボトリングされています。

セカンドブランドとして、
中国とロシアを主なターゲットとし、
「カルケラ」と言うブランドも造っているそうですが、
こちらはまた後日ご紹介しますね。

醗酵途中に泡を切ったこだわりのラム。

あまりホワイトラムは見かけませんが、
アグリコール独特の青臭さを残しながら、
エグ味が少なく、スッキリとしていて飲みやすいラムです。

楽天市場ではヴィユーのみが販売されているようです。


綺麗な金色をしたラムと、
上品なフランスらしいラベルがマッチして、
高級品を思わせますが、
結構手に取りやすい価格です。

味わいはアグリコールらしい、
サトウキビのほんのりと甘い香りを残しながら、
樽由来のヴァニラ香と、
熟成によって丸みを帯びた味わいが、
とても伸びがよく飲みやすい仕上がりになっています。

小さなグラスでチビチビと食後に飲むか、
暑いこの夏には、気付けに良いかもしれませんね?!

2008年8月6日水曜日

葉巻と音楽とラムの国

先日のニュースでカストロ議長が国民に向けて演説を行い、
今の原料、原油高騰によっての苦境を、
国民の力を合わせて乗り切ろうと言う演説があったそうです。

どこの国でも今は同じような状況ですが、
アメリカによる経済制裁を受けながら、
外貨の獲得のために頑張っている国の一つ、
キューバ共和国。

1997年ににライ・クーダーがドキュメンタリー映画を製作し、
ブエナ☆ビスタ☆ソシアル☆クラブ

キューバ音楽が大人気になった時期もあったり、
松嶋奈々子と反町隆史の新婚旅行がキューバだったりと、
一時はキューバブーム?が起こりつつありましたが、
日本からの直行便がなかったり、
カナダやメキシコ経由で約1日以上がかりでやっと到着できる、
遥かかなたの遠い国となってしまっています。

そんなキューバから届いた日本発輸入のラム酒があります。

「サンチアゴ・デ・クーバ」
アメリカ占有時代以前の旧首都の名前を冠した、
輸出を意識した爽やかで上品なラムです。

キューバのラムは他の地域と製法が少し異なり、
サトウキビを搾った搾汁から糖蜜を取り除き、
残ったジュースを醗酵させ蒸留されます。

ちょっと古くなったサトウキビや、
出来の悪かった年のサトウキビジュースから造られるラムには、
サトウキビのエグ味が残ったり、
甘味が少なく、熟成の際に砂糖を足さなければならなかったりするそうですが、
キューバのラムの製法だと、糖蜜を取り除くために、
以上のような現象が起こりにくいんだそうです。

サンチアゴ・デ・クーバの最高級品としてリリースされているのが、
25年熟成のラム。



日本への輸出を可能にするために、
カストロ議長の輸出許可を取り、
残っていた樽を1本のみボトリングし、
やっと日本に輸出されたんだとか。

そのためか?かなりの高額アイテムになっていますが、
これがラム?と思わず言ってしまいそうな、
高級ブランデーにも負けず劣らずの味わい。

11年熟成のアネホタイプ



25年に比べるとかなり安くなった感じはありますが、
さすがにラムとしてはまだまだ高い。。
ですが、11年熟成でも十分な熟成感があり、
キューバ産の葉巻との相性が最高!なんだとか。

ザ・リッツカールトン東京のザ・バーでは、
ハバナ産の葉巻と合わせて提供されています。

グラスに注いだ瞬間から花が開くような、
黒蜜のような甘く滑らかな香りと、
口に入れた瞬間に広がるさっぱりとした感じがありながらも、
まろやかで上品な味わいが最高!です。

定番としては7年熟成のアネホ



これが一番手に取りやすく、
満足の行く味わいかもしれません。

デイリーユースでオンザ・ロックや、
出来ればストレートでじっくりと楽しみたい一本。

11年よりは控えめですが、
グラスに注いだ時の香りや口に含んだときのまろやかさは、
もう最高!の一言です。

飲んだ後に残る香りや充実感があり、
もう一口飲みたくなるお勧めの一本。

一番若い熟成のカルタ・ブランカ3年



キューバラムのもう一つの特徴でもある、
4回蒸留のうちの1回目の蒸留液を「アグアールディエンテ」と言い、
後3回ほど蒸留してラムの原酒となりますが、
3年以上ステンレスタンクで熟成したラムに、
アグアールディエンテとミネラル分を抜いた水を加え、
更に3年間熟成した、とっても手の込んだラムです。

カクテルベースには最適で、
このラムで造るモヒートは最高!

ぜひお試しあれ!!

2008年8月4日月曜日

バタフライアイランド

カリブ海のほぼ中心にある島で、
蝶が羽を大きく広げたような形をした島が、
グァドループ島です。

左側の島をバステール、
右側の島をグランテールと呼び、
ダモワゾー蒸留所だけがグランテールにあります。

フランス海外県のグァドループ島、
ダモワゾー蒸留所は、本国のボルドーに拠点を持つ、
ネグリタラムの原酒の一つとして、
製造のみ行われ、ボトリングされずに、
ほぼ全量をフランスへと送られていましたが、
ダモワゾーの名前を冠して、
ボトリングされるようになりました。

1年のほとんどの期間、
蒸留所にはサトウキビ畑から数万トンのサトウキビが運び込まれ、
井戸水をかけられ柔らかくなった所で、
ジュースにされ、製パン用のイースト酵母を使って、
品温が35度を超えないようにして、
24時間醗酵され2基の連続式蒸留器で蒸留されます。

ブランはステンレスタンクで4ヶ月ほど熟成され、
40度のアルコールに調整されてボトリングされます。


ダモワゾー・ホワイト・40度
優しく上品な口当たりで、カクテルベース、
特にティーポンシュにして飲みたいホワイトラム。
【ティーポンシュ】
口の広い大きなグラスに、パウダーシュガーを入れ、
レモンを絞って、更にレモンをひとかけらグラスへ入れ、
大きな氷を1~2個入れた上から、
ダモワゾー・ホワイトを注ぐだけ!
さっぱり飲みやすい、手軽なカクテルです。


50度のブランは樽に入れられて加水され、
調整されるために、
うっすらと樽の色が付いています。


ダモワゾー・ホワイト・50度
うっすらと色が付いた短期熟成のホワイトラム。
モヒートのベースとして最高のラムです。



さらに熟成されるラムは、
フレンチオークの樽と、バーボンの樽に詰められ、
若い熟成のラムはフレンチオークの新樽で、
8年以上の長期熟成ラムは、
バーボンの樽で熟成されているそうです。


ダモワゾー・アンバー
長期熟成されている、手ごろな価格。
ブランデーを思わせる優しい味わいのラムです。



更に熟成されたヴィユーはろ過されボトリングされているそうです。


ダモワゾー・ヴィユー
42度のアルコール度数からもこだわりが見られるが、
ブランデーと言うよりも、
カルヴァドスのようなフルーティーな香りと味わいがあります。



ダモワソー ヴィユーレゼルヴ スペシャル 42度
更に熟成されたヴィユー
色合いが更に濃くなり、風味も樽由来のヴァニラのような香りと、
甘みがあり、ラム本来の甘さと上手くマッチして、
食事にも合わせやすいブランデーのような味わいのラムです。



ダモワソー ヴィユー 8年 42度
8年間ホワイトオークで熟成された、
さっぱりとした口当たりと、
まろやかな味わいの上品なラム。




ダモワゾー・15年 42度
1986年に蒸留したラム原酒を長期にわたって
熟成させ、ボトリング。
良質のブランデーを思わせるような柔らかな
香りとコクをもつ。
ストレートで熟成感をお楽しみ下さい。



ダモワゾー・1953 42度
50年前に蒸留され、
一般的に日本に輸入されている仏領ラムで一番の古酒。
色は珈琲のように濃く、非常に味わい深い。
余韻も長い稀少なラム。


ラムを造ると言うよりも、
長期間熟成させ、
ブランデーのように飲みたいラムを造りたいのでは?と、
ふと考えてしまう蒸留所です。

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2008年8月2日土曜日

暑い時には、熱い国のお酒が一番?!

カリブ海の海賊こと「パイレーツ・オブ・カリビアンパイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド 2-Disc・スペシャル・エディション
で、
一躍有名になった?カリブ海。

カリブ海で古くから造られている地酒がラム酒だ。

そろそろ個人では手が出せなくなってきた高額なシングルモルトや、
日本の焼酎に飽きた人たちが密かにはまっているのがこのラム酒。

私もすっかりと魅了され、
まだ未開拓の分野ではあるが、
色々と調べていくと面白いジャンルです。

カリブの島には数百の島々が浮かび、
独立している国もあれば、
どこかの国の領有地だったりするので、
領有地の国の色がラムにも反映され、
それぞれ個性があって面白い。

カリブ海の島を大きく分けると、

■フランス系「Rhum」
グアドループ島、マダガスカル島、マルティニーク島、レユニオン島など

ワインやブランデーの生産地なので、
AOC制度も一部の地域で施行され、
ホワイトラムよりもじっくりと熟成された
ラムが多いように感じます。

■スペイン系「Ron」
キューバ共和国、グアテマラ、コスタリカ、ドミニカ共和国、ニカラグア
ネパール、パナマ、プエルトリコ、ベネズエラ、ペルーなど

スペインはシェリーが代表的なお酒ですが、
やはりラムもアルコール度数を抑え、
香りが高く飲み飽きのしない味わいのラムが多いように感じます。

■イギリス系「Rum」
アンティグア・バブーダ、ジャマイカ、ガイアナ(デメララ)など

シングルモルトやスコッチなど、
長期熟成のウィスキーの生産地なので、
しっかりと熟成した薫り高く、
味わいのあるラム酒が多いように感じます。

分類は、大きくこの3つに分けられ、
ボトルに書かれる「ラム酒」を意味するスペルも違っています。

宗主国が違うと、造られるラム酒の味わいが
違うと言うのも納得できるような感じもしますが、
もともとはカリブ海で製造され、
それぞれの宗主国へ運ばれて、
輸出されたり、飲まれていると言うことが多かったそうです。

現在では宗主国以外にも輸出され、
それぞれの蒸留所が自分達の培ってきた技術を駆使して、
素晴らしいラム酒を造っています。

ちょっと焼酎にも似たところがありますが、
ラムは「エコ」のお酒です。

原料はもちろんサトウキビですが、
サトウキビを搾る機械の原料も、
絞り終わったサトウキビを燃やして、
動力とされていますので、
蒸留後に残る廃液以外の一部以外は、
ほとんど捨てるところがないと言う、
まさに今、時代にぴったりのお酒と言えるかもしれませんね。


前置きはこの程度にして、
今日はフランス海外県のマルティニーク島にある、
「ラ・ファボリット」蒸留所のラムをご紹介。

1842年から4世代に渡りラムを造っている蒸留所で、
自家農園で取れるサトウキビを、
手で刈り取ったほうが新鮮さが長持ちし、
蒸留後の味わいにも響くと言う部分から、
7割は手で刈り取り、残りの3割のみを機械で刈り取ると言う、
原料にもこだわりを持つ蒸留所。

絞られたサトウキビジュースは、
前に絞ったジュースに加えられ72時間の自然発酵の後、
一部のジュースを次の醗酵のために残し蒸留される。

蒸留は銅製のクレオール式と呼ばれる連続式蒸留器で蒸留され、
3ヶ月以上ステンレスのタンクで貯蔵され、
ブランとしてブランとしてボトリングされます。



さらにフレンチオークの樽で最低1年半から3年間熟成され、
アンブレと呼ばれる琥珀色と言う意味を持つラムとして、
ボトリングされます。




熟成にもこだわりがあり、
バーボンの樽や新しい樽は使われず、
全てをコニャックの熟成に使われた、
フレンチオークの樽で熟成され、
樽の中にナツメグ、バニラ、シナモン、干しプルーンなどが、
入れられて一緒に熟成され、
シングルモルトなどのウィスキーとは違い、
樽の熟成中に「天使の分け前」で樽の中身が目減りした分を、
注ぎ足し貯蔵、熟成されるそうです。



暑い夏には、暑い国のお酒が一番!
一度試してみませんか?!